Japanische Fichte-Gesellschaft
日本フィヒテ協会


日本フィヒテ協会賞


第9回日本フィヒテ協会賞】

大会当日、第9回フィヒテ協会賞(研究奨励賞)授賞式が挙行された。受賞者である瀬戸一夫には、賞状、賞金、副賞が授与された。

――受賞対象業績――
A 著   作
  • 『無根拠への挑戦−フィヒテの自我哲学」勁草書房2001年4月
B 論 文
  • 「フィヒテの基体なき実体概念」『へーゲル哲学研究』第9号(へーゲル研究会、2003年3月)所収
  • 「ニュートンの三法則とフィヒテの三原則−科学の価値中立性に秘められた謎−」『成践法学』第58号(成蹊大学法学部、2004年1月)所収
――受賞理由――
 瀬戸一夫氏は、修士論文以来長年にわたりフィヒテ研究に従事され、上記著作『無根拠への挑戦』に集約された非常に優れた業績を挙げられました。同著において、瀬戸氏はフィヒテの『全知識学の基礎』に対して、当時の背景事情や最近の内外の二次文献にも目配りつつ、入念な解釈をほどこされました。その際、フィヒテ解釈の論議がややもすると空転化しがちであることを考慮され、「デカルト的な懐疑」、「知識の基礎づけを破壊する探求」、「現代との関わり」という三つの座標軸のもとで解釈を試みられました。とくに、フィヒテ哲学の意味を近代の知の間題性や現代の科学論と重ね合わせて捉えようとする試みは、きわめて意欲的にして刺激的なものと評価されます。
 以上のような、特徴的な観点から長年にわたって積み重ねられた瀬戸氏の研究の集大成は、我が国のフィヒテ研究に一石を投じた業績であると思われます。
 当選考委員会は『無根拠への挑戦』に結実した瀬戸氏の研究努力を讃え、さらに今後の研究の一層の進展を期待して、第九回フィヒテ研究奨励賞を授与することを決定しました。
 2004年11月20日
 日本フィヒテ協会選考委員会