Japanische Fichte-Gesellschaft
日本フィヒテ協会


日本フィヒテ協会賞


第6回日本フィヒテ協会賞】
日本フィヒテ協会第17回大会当日(2001年12月8日)、第6回フィヒテ協会賞(研究奨励賞)授賞式が挙行されました。受賞者である中島靖次氏に、賞状、賞金、副賞が授与されました。以下は受賞理由書です。
――受賞対象業績――
A 研究論文
  • 「『全知識学の基礎』におけるフィヒテの企図――事行概念を中心に」(名古屋大学人文科学研究第15号、1985年3月
  • 「1801年の『知識学』にいたるフィヒテの自我論」(中部哲学会会報第19号、1986年3月)
  • 「『知識学』における自己意識について――「知的直観」の概念をめぐって――」(名古屋大学哲学論集創刊号、1989年3月)
  • 「「直観」と「概念」から「原概念」へ――『知識学講義』に至る「知」について――」(名古屋聖霊短期大学紀要大13号、1993年3月)
  • 「原理としての自我について――フィヒテとシェリングにおける知的直観をめぐって――」(『シェリング読本』 法政大学出版局、1994年10月)
  • 「自己意識と自然――『最新の哲学文献概観』における――」(『シェリング年報』第3号、1995年7月)
  • 「知識学における「構想力」について」(名古屋聖霊短期大学紀要第16号、1996年3月)
  • 「『新しい方法による知識学における自己意識の構造について』(名古屋聖霊短期大学紀要第16号、1998年3月)
  • 「知と自己意識について」(名古屋聖霊短期大学紀要第16号、1999年3月)
B 翻   訳
  • クラウス・ハマッハー著「ヤコービの「フィヒテ宛」書簡(1799年)」(『論争の哲学史――カントからヘーゲルへ――』理想社2001年2月)
C 学会発表
  • 「フィヒテの自我論」(中部哲学会、1985年)
  • 「「知的直観」の意義――自我から絶対者への移行における――」(日本フィヒテ協会第4回大会、1988年)
  • 「フィヒテとシェリング」(日本シェリング協会第3回大会、1994年)
――受賞理由――
 本協会会員中島靖次氏は、長年にわたるそのフィヒテ研究において、上記諸論文・諸発表に見られるような非常に優れた業績を挙げられました。中島氏は研究開始以降、首尾一貫して、地の可能性の根拠としての「自己知」あるいは「自己意識」という根本問題がはらむ問題機制にさまざまな角度から系統的に取り組んでこられました。「直観」と「概念」
との連関、「構想力」の特性、自我の二重の系列などの視点から、「自己知」の構造を発展史的に解明しようとする氏の研究は、テキストに忠実にかつ精力的に展開され、上記諸論文に認められる実力は高く評価されるものであります。これらの諸研究に加え、シェリングや現代の哲学者との対比をと通してフィヒテ哲学の根本問題にさらに新しい視野を開こうとしている氏の研究には、今後さらに大きな諸成果が期待されます。
 また中島氏は本協会第4回大会における研究発表等を通じて本協会の活動に寄与されました。その真摯で活発な研究態度は本協会の研究奨励賞にふさわしいものと考え、当選考委員会は中島精次氏の優れた業績に対し、第6回研究奨励賞を授与することに決定しました。
 2001年12月8日
 日本フィヒテ協会選考委員会