Japanische Fichte-Gesellschaft
日本フィヒテ協会


日本フィヒテ協会賞


第4回日本フィヒテ協会賞】
日本フィヒテ協会第14回大会当日(1998年11月21日)、第4回フィヒテ協会賞(研究奨励賞)授賞式が行われ、受賞者の木村博氏に賞状、賞金、副賞(フィヒテの肖像画、シュールポルタのワイン一本、H. Petzold著 Begegung mit Fichte)が授与されました。以下は受賞理由書です。
――受賞対象業績――
A 研究論文
  • 「イェナ期フィヒテにおける言語と共同性」(『社会思想史研究』、第14号、1990年)
  • 「行と行為――江渡狄嶺とフィヒテ――」(『比較思想史研究』、第18号、1992年)
  • 「フィヒテとラインホルト――言語論をめぐって――」(『フィヒテ研究』、創刊号、1993年)
  • 「イェナ期フィヒテにおける相互人格性と言語」(『理想』、第655号、1995年)
  • 「比喩と構想力――イェナ期フィヒテ言語論の基底」(法政大学教養部『紀要』、第96号、1996年)
  • 「生命の影および生命の輝きとしての言語――後期フィヒテ言語論の奥行き――」(『フィヒテ研究』、第5号、1997年)
 学会発表
  • 「フィヒテとラインホルト――言語論をめぐって――」(日本フィヒテ協会第8回大会、1992年)
  • 「生命の影および生命の輝きとしての言語」(日本フィヒテ協会第12回大会、1996年)
――受賞理由――
 本協会会員木村博氏は、長年にわたるそのフィヒテ研究において、上記著書・論文・発表に見られるような数多くの優れた業績を挙げられています。木村氏は、フィヒテの初期の著作から後期の著作までを統一的に取り上げて、従来看過されてきたフィヒテの言語論の意義について明らかにするとともに、そうした関心のもとに、言語がその可能性にとって必須の条件であるような「相互人格性」の問題について究明しました。さらには、フィヒテの自然哲学における超越論性や構想力の位置づけ、またフィヒテと彼の周辺の哲学者(ラインホルトやシェリング)との関係等を論究し、フィヒテ哲学をその体系的見地から解明してきました。フィヒテと日本思想との比較について、意欲的に取り組まれている点も特筆されるべきものです。同時に木村氏は、本協会の第8回および第12回大会における研究発表等を通じて本協会の活動に寄与されました。その真摯な研究態度は本協会の研究奨励賞にふさわしいものであり、本選考委員会は木村氏の優れた業績に対し、第4回研究奨励賞を授与することに決定いたしました。
 1998年11月21日
 日本フィヒテ協会選考委員会