Japanische Fichte-Gesellschaft
日本フィヒテ協会


日本フィヒテ協会賞


第3回日本フィヒテ協会賞】
日本フィヒテ協会第13回大会当日、第3回日本フィヒテ協会賞(研究奨励賞)授賞式が行われ、受賞者の美濃部仁氏(関西大学) Hitoshi MINOBE (Kyoto)に大峯会長より賞状、賞金、副賞(フィヒテの肖像画、シュールポルタのワイン、H. Petzold 著 Begegung mit Fiche)が授与されました。授賞対象業績と授賞理由は以下の通りです。
――受賞対象業績――
A 研究論文
  • 「自己限定の哲学――フィヒテの『新しい方法による知識学』について」(『宗教哲学研究』第8号)、1991年
  • 「無神論論争」(大峯顯編、『叢書ドイツ観念論との対話第四巻――神と無』所収)、1994年
  • 「知的直観と第一根本命題」(『フィヒテ研究』第3号)、1995年
  • 「哲学者の反省について」(『フィヒテ研究』第4号)、1996年
 翻 訳
  • Akira Omine, Das Problem der Reflexion bei Kierkegaard und Fichte (Fichte-Studien Bd. 7.)1995年
  • ヴォルフガング・ヤンケ「知はそれ自体絶対実存である――フィヒテ1805年の『知識学』における最高原則――」(『フィヒテ研究』第3号、岡田勝明氏と共訳)、1995年
C 書 評
  • Wolfgang Janke, Vom Bilde des Absoluten. Grundzüge der Phänomenologie Fichtes(『フィヒテ研究』第2号)、1994年
D 口頭発表
  • 「フィヒテ知識学における「衝動」について」(日本宗教学会第48回学術大会)、1989年
  • 「イエナ期フィヒテに於ける認識の起源」(日本フィヒテ協会第5回大会)、1989年
  • 「フィヒテの知識学に於ける道徳性について」(日本宗教学会第49回学術大会)、1990年
  • 「フィヒテに於ける目的概念について」(関西哲学会第43回大会、『関西哲学会紀要』第25冊に要旨掲載)、1990年
  • Die intellektuelle Anschauung und die "Grundlage der gesammten Wissenschaftslehre"(ブルガリアのScientific Session '94), 1990年
  • 「自我について――フィヒテの知的直観を中心として」(京都宗教哲学会)、1994年
  • 「哲学者の自由な反省について」(日本フィヒテ協会第10回大会)、1995年
  • 「絶対者の像としての実存――フィヒテ1804年の知識学の立場――」(ドイツ観念論研究会・実存思想協会合同研究会)、1996年
  • Das Absolute in der Wissenschaftslehre von 1804 (シュールポルタ国際フィヒテ学会)、1997年
――受賞理由――
 本協会会員美濃部仁氏は、長年にわたるそのフィヒテ研究において上記諸論文・諸発表に見られるような顕著な業績を挙げられました。美濃部氏はその諸論文において哲学の第一原理としての自我の考察を主題とし、唯一の原理から一切を説明すること、またその原理としての自我の問題の解明に努力してきました。そのような関心のもとに同氏は知の自己内還帰としての「反省」の問題、および知識学の第一根本命題を確証する「知的直観」の問題を究明してきました。そしてシュールポルタにおける国際フィヒテ学会の発表においては、1804年の知識学を取り上げ、そこにおける知と絶対者の関係を解明しました。また美濃部氏は本協会の第5回及び第10回大会における研究発表等を通じて本協会の活動に寄与し、さらにシュールポルタの国際フィヒテ学会における発表、ならびにヤンケ教授の論文翻訳や著書の書評等により、フィヒテ研究における国際交流にも貢献されました。その真摯な研究態度は本協会の研究奨励賞にふさわしいものと考え、当選考委員会は美濃部氏の優れた業績に対し、第3回研究奨励賞を授与する事に決定いたしました。
 1997年11月15日
 日本フィヒテ協会賞選考委員会