Japanische Fichte-Gesellschaft
日本フィヒテ協会


日本フィヒテ協会賞


第2回日本フィヒテ協会賞】
日本フィヒテ協会第12回大会当日、第2回日本フィヒテ協会賞(研究奨励賞)授賞式が行われ、受賞者の岡田勝明氏(姫路独協大学)Herr Katsuaki OKADA(Himeji)に賞状、賞金、副賞(フイヒテの肖像画、シュールポルタのワイン、H. Petzold著Begegung mit Fiche)が授与されました。授賞対象業績と授賞理由は次の通りです。
――受賞対象業績――
A 著 書
  • 『フィヒテ討究』(創文社)、1990年
 研究論文
  • 「ビルト(像)の達成」(『フィヒテ研究』第3号)、1995年
  • 「西田幾多郎のフィヒテ理解」(『哲学研究年報』関西学院大学哲学研究室編、第29号)、1995年
  • 「フィヒテ研究における存在と愛と生」(『姫路獨協大学一般教養部紀要』1巻1号)、1990年
C 口頭発表
  • "Der erste Grundsatz und die Bildlehre" (イェーナ国際フィヒテ学会、研究発表)、1994年
  • 「ビルト(Bild)の意義――1812年の知識学をめぐって――」(日本フィヒテ協会第10回大会、研究発表)、1994年
  • 「フィヒテ哲学における初期から後期への展開について」(日本フィヒテ協会第2回大会、研究発表)、1986年
D 翻 訳
  • 「『知はそれ自体絶対実存である』――フィヒテ1805年の『知識学』における最高原則」(共訳)(『フィヒテ研究』第3号)、1995年
E 書 評
  • Wolfgang Janke, Entgegensetzungen. Studien zu Fichte-Konfrontationen von Rousseau bis Kierkegaard(『フィヒテ研究』第3号)、1995年
――受賞理由――
 本協会会員岡田勝明氏は、長年にわたるそのフィヒテ研究において上記著書・諸論文・諸発表に見られるような顕著な業績を挙げられました。岡田氏はその著書『フィヒテ討究』において超越論的原理としての自我の考察から出発し、人間の存在条件としての言語の問題を経て、さらに絶対者と絶対知との関係を「像」、「現象」という観点から究明し、「Insichheit」という概念を提示してフィヒテ知識学の根本的性格とその問題点を論究しました。また「ビルトの達成」では1812年の知識学をテキストとしてBildの成立構造を解明しました。岡田氏はそのフィヒテ研究において終始学と生との一致を哲学的に探求し、知としての自己存在の根源的究明を志し、超越論哲学としての知識学の全体像を解明してこられました。そして本協会の第2回及び第10回大会における研究発表等を通じて学会の活動に寄与し、さらにはイェーナの国際フィヒテ学会における発表、ならびにヤンケ教授の論文翻訳や書評等により、フィヒテ研究における国際交流にも貢献されました。その真摯な研究態度は本協会の研究奨励賞にふさわしいものと考え、当選考委員会は岡田氏の優れた業績に対し、第2回研究奨励賞を授与する事に決定いたしました。
 1996年11月16日
 日本フィヒテ協会賞選考委員会